私は泉鏡花が大好きです!あの幻想的な世界に引き込まれたら、蟻地獄に吸い込まれたのと同じくらい、這い上がれません。と言っても、蟻地獄に吸い込まれたことはないのですが(^^;)
泉鏡花の小説や戯曲はとっても読みづらいです。古典的な、昔の難しい文章で、現実と夢のような世界の狭間を書いてあるので、読んでいると、急に意味がわからなくなります。集中してもう一度読んでも、やっぱり同じところで分からなくなる。きっと私みたいな馬鹿な人間には読めないのだわぁと、あきらめて途中にしてしまったものが何遍あるかしれません。
ところがそんな私に、救世主が現れました。金沢市出身の漫画家・波津彬子(はつあきこ)さんの『鏡花夢幻』。泉鏡花の代表作『天守物語』・『海神別荘』・『夜叉が池』が収められています。一から泉鏡花を読むのは大変なので、この本をガイドブックにしよう!と決意しました。漫画を読んでしまったら、ストーリーが分かってしまうからおもしろくないと云うなかれ。私に限っては、漫画も2度読まないと、意味わかりませんでしたから(^^;)
私は泉鏡花を読んで、その世界を漂うのが大好きな鏡花オタクです。普通、小説を先に映画で見てしまうと、読む気がうせるといいますが、泉鏡花に限ってそれはありません。彼の幻想の世界は、不思議なことに、先に映画や舞台、漫画を読んでも、本を読んだらまた違う世界に引き摺り込まれます。安心して漫画を読んでください。というよりも、漫画読んだほうが泉鏡花に入りやすいかも。
今、金沢市の泉鏡花記念館で、波津彬子(はつあきこ)さんの原画展が開かれています。鏡花の世界にピッタリの「冷たくて優しい」タッチの絵に、ますます想像を掻き立てられます。
9月24日まで、是非お見逃しなく。